以降は病名を「筋拘縮症」に統一して書いていきます。
大腿四頭筋拘縮症の皮膚症状では、太ももがでこぼこと硬く凹んでいたり、硬い筋状のしこりがあるなど、健康的でむっちりと弾力のある太ももとは全く違います。 この足を見られるのが嫌で、女の子ではスカートをはかなくなったという人、男の子でも体育の時に短パンになるのが辛かったといいます。 太ももの表側を大きく占める大腿四頭筋は、その名の通り4つの筋肉でできています。
傷害された筋肉部分によって、運動障害は3つのタイプに分けられます。
【直筋型】 前面の中心部分を占めているのが大腿直筋です。
股関節と膝関節の両方の作用にかかわる筋肉で、この部分に拘縮があるものを直筋型と言います。
うつ伏せになり膝を曲げていくと、正常であれば、かかとがお尻に当たるまで曲げることができます。
大腿直筋に拘縮があれば、ある角度になると太ももが突っ張り、腰が浮き始める
尻上がりという現象が起こります。
直筋型の場合、しゃがんだり座ったりするときに、股関節を動かすことで膝を曲げことができます。
そのため、親も気づかなかったという場合もありました。
【広筋型】
太ももの内側には内側広筋、外側には外側広筋、大腿直筋の裏側に中間広筋があります。
この3つの広筋群は膝関節のみの作用に関わる筋肉で、この部分に拘縮があるものを広筋型と言います。
膝自体を曲げることができないため、機能障害もより重篤です。尻上がり現象は起こりません。
【混合型】
混合型は直筋、広筋両方に拘縮があるものを言います。
尻上がり現象が起こりますが、直筋型と違い膝を曲げる角度にも制限があります。
1996年に発行された書籍『注射による筋短縮症』(注射による筋短縮症全国自主検診医師団学術調査委員会 編)によると、大腿四頭筋拘縮症被害者の大部分は直筋型で比較的軽症が多く、広筋型、混合型被害は少数ですが、ほとんどが重症です。
さらに重症の直筋型の場合、年長になるにつれて混合型に移行していくことがわかっています。
大腿四頭筋拘縮症の診断のめやすの説明図を参照してください。